・07/12


 
 
 
 

ログインした直後、黄文字が表示される。
恐らくイベントなんだろうと思うのだけれど、
これだけの情報ではどこで何をするのか見当がつかない。
 
 
 
 

こういう時は人に訊くのが一番なんだ。
 
 
 
 
通りすがりのプリーストの足を止め、詳細を聞き出そうとした。
 
 
 
 
 
 
場所はジュノーか。ブライダルフェアとはなんだ。
 
 
 
 
話を総合すると、ジュノーにて2人1組で行うなにかしらのイベントをするのだそうだ。
では、友達のいない僕などはどうなるのか。恐らく、イベントに参加する権利すらないのだろう。
 
 
 
 
巫山戯たイベントだぜ。
友達のいないROプレイヤーの代表としてジュノーへ行き、目にもの見せてやる!!
 
 
 
確か、プロンテラからジュノーへ直通している転送要員が居たはず。
 
こいつだ。
 
 
 
 

現場は、イベント参加を希望する男女でひしめきあっていた。
 
 
 
 
 
だが、なかにはこのように女性の相方はいないけど、イベントには参加したいという男もいて、
男同士の相方ならほらここに、と彼らは精一杯のアピールを試みるのであるが、
 
 
 
 
 

突如現れたGMが却下を下す。
けしからんと言わんばかりのエモーションを交えながら。
ここがオランダなら、アンタリンチだぜ!
無くなればいいよね、「差別」。
 
 
 

始まったか。
 
 
 

先ずは一次職同士に因るPvPイベントを執り行うらしい。
 
 
 

GMが開始の合図があるまでは、スキルの使用を禁じるとプレイヤーに釘を刺す。
「ご注意ください」の発言の裏側で、
「使ったらどうなるかわかってんだろうな?」という脅迫の含みを持たせていることが
みてとれる。つまり使うと、非常に恐ろしい処置が待っているということだ。
 
 
 
 
 
楽しそうなカップルを横目に独り身プレイヤーが愚痴を零す。
まぁ、アンタの気持ちはわかる。
 
 
 
 
ここで突然、画面が暗転し、サーバーから切断された。

上の画像では、僕の回線が悪いのかとプレイヤーは思いこんでいるが、
後からわかったのだが、これはGMが僕を故意にサーバーから切断させたのだ。
GMの野郎…
 
 
 
 
 
ちょっとした遊び心でGMの傍に寄り添ってみたら、
邪魔だからどいてくれないかと訓告される。
 
 
 

権力に屈してはいけない。
 
 
 
 
 
 
僕が権力に屈しない場合、GMは立場上の権力を駆使し、
僕を排斥すると威圧。
 
 
 
 
 
くそったれ、ここは一時退く。
 
 
 
 
僕には、どうすることもできないのか?
このイベントをどうにかこうにかすることはできないのか?
 
 
 
 

勇気を出せ。
 
 
 
 
 
GMがポータルを出した。
僕がこれに飛び込めば、どうなってしまうのか、予想はつく。
きっと、後々酷く困窮してしまう。
 
 
 
 

だが、僕は覚悟を決め、ポータルに飛び込んだ。
着いた場所はプロンテラPvPフィールド。
着いたはいいが、なぜか一歩も動くことが出来ない。
ちっ、どうなってやがる。
 
 
 
 

足が動かなくとも、僕にはスピアブーメランという飛び道具がある。
こいつを駆使し、近くにいるプレイヤーを2人ほど殺した。
 
 
 
 

直後、本日2回目の画面暗転。
GMから追い出された。
僕は舌打ちをしながら、再度ログインを試みる。
なんとなく嫌な予感がした。なんとなくログインするのが怖かった。
 
 
 
 
 

さて、えらいことになっちまった。
後で公式ページを覗いてみたんだけど、僕のやったことは結構重い罪に当たるらしい。
今回はやりすぎたな。僕は、果たして助かるんだろうか。

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